プラセンタは美容と健康をサポートする成分として医薬品やサプリメント、化粧品にも取り扱われ、広く知られるようになりましたね。私自身、女性特有の悩みがありプラセンタとの出会いがありました。ここではプラセンタの基本的なおはなしをしていきます。
女性ホルモンバランスプランナー®の石井理夏(あやか)
プラセンタとは?栄養豊富な女性の味方
プラセンタ(placenta)、あるいはプラセンタエキスは、胎盤から抽出した成分のことです。
経口の一般医薬品や健康食品として流通しています。化粧品では日本の医薬部外品の美白有効成分として使われています。
プラセンタの摂取やプラセンタ配合の化粧品の使用は、健康と美容への効果が期待できます。
豚や馬、牛や羊などの哺乳動物は、出産後に胎盤を食べることはご存知ですか。これは栄養が豊富な胎盤を食べることで、出産で低下した体力を早く回復させることができるからといわれています。
プラセンタの歴史
プラセンタの歴史は深く、エジプトの女王クレオパトラ、フランスのマリーアントワネット、中国の楊貴妃などが若返りや美容のために使用したといわれています。
紀元前
「医学の父」 と呼ばれるヒポクラテスが胎盤に着目し、治療に用いられていました。その後、ヨーロッパでは、脳梗塞や不妊症の治療で使われていたそうです。
中国
中国では胎盤は、紫河車(しかしゃ)と呼ばれ、漢方薬としての歴史が古く、秦の始皇帝(紀元前259年~紀元前210年)の時代には不老長寿の薬として使っていました。
強壮薬として、疲労・虚弱・気虚・血虚・喘息・咳嚇などに用いられてきました。そのほかにも不妊症、精神安定、てんかんなどの治療で使われていたそうです。
日本では、江戸時代に「紫河車」を配合した昆元丹(こんげんたん)が加賀藩(現在の石川県)の三大秘薬のひとつに数えられ、不老長寿、滋養強壮の薬として使われていました。
現代では、「プラセンタエキス」として、経口の一般医薬品や健康食品として流通しています。化粧品では日本の医薬部外品の美白有効成分として使われています。プラセンタの摂取やプラセンタ配合の化粧品の使用は、健康と美容への効果が期待できます。
プラセンタの種類は?人、豚、馬由来などいろいろあるけれど違いはなに?
プラセンタの種類
現在日本では、「馬」「豚」「ヒト」「植物」由来のプラセンタがあります。
馬由来のプラセンタ | 馬の胎盤には、人間の身体に必要な必須アミノ酸が多く含まれているという特徴があり、豚由来のプラセンタには含まれていない6種類のアミノ酸も含まれています。 また、豚のように一度に何頭も産むのではなく、馬は一年に一頭しか出産しないので、とても厚く丈夫な胎盤を持っています。そのため、馬由来のプラセンタは、豚プラセンタよりかなり効果が高く、成分の濃いものとして認知されています。 |
豚由来のプラセンタ 参考書籍:更年期障害、疼痛、美容などにプラセンタ療法 | 現在主に使われているのが豚由来のプラセンタです。豚プラセンタは、化粧品や健康食品、サプリメントなど日常生活においても広く利用されています。 |
ヒト由来のプラセンタ 【医師監修】人由来のヒトプラセンタの効果|化粧品やサプリへの使用は? | スキンケア大学 (skincare-univ.com) | ヒトの胎盤から得られるプラセンタエキスです。 ヒト由来のプラセンタは「プラセンタ療法」として、認可された製薬メーカーにのみ製造を許可され、医薬品として扱われます。 肝臓病や更年期障害などの治療に使用されています。 |
植物由来のプラセンタ | 植物には「胎盤」がありません。植物性プラセンタとはつくられた言葉で、動物性プラセンタ同様、アミノ酸やビタミン、ミネラル類が含まれていることにより、美容効果は期待できるものの、動物性のプラセンタに存在する生理効果の強い成長因子(せいちょういんし)までは、含まれていません。 |
日本では狂牛病の発生に伴い、厚労省より「狂牛病が発生した国の牛や羊などの胎盤は原料にしないこと」となっています。
プラセンタの効果って?美容や美肌づくりにいいの?
先に述べたとおり、プラセンタには豊富な栄養素が含まれていて、美容と健康をサポートしてくれます。
プラセンタの主な栄養素と主成分のアミノ酸のはたらき、そしてプラセンタの最大有効成分である成長因子が美容にどうはたらきかけるのか説明していきますね。
プラセンタの主な栄養素
アミノ酸 | 生命の源となる栄養成分 |
脂質・脂肪酸 | 私たちの体づくりを支える栄養素です |
たんぱく質 | 血や肉の元となる主要な栄養成分 |
ビタミン | 生理機能のバランスを整えます |
ムコ多糖類 | 保水性に優れ、肌の健康維持など |
糖質 | 生命活動のエネルギー源です |
活性ペプチド | たんぱく質の消化吸収を促します |
核酸 | 正常な細胞分裂や新陳代謝を担います |
プラセンタの主成分アミノ酸の働き
私たちのカラダは60~70%が水分で、20%がたんぱく質などのアミノ酸でできています。 意外に思われるかもしれませんが、アミノ酸は20種類しかありません。 アミノ酸の組み合わせからできるたんぱく質の種類は10万種類にも及び、筋肉や血液や骨、皮膚や髪の毛、コラーゲンなどわたしたちの様々な体の部分をつくっています。
わたしたちは毎日の食事から肉や魚、野菜などたんぱく質の形で摂取しますが、 たんぱく質は体内に入ると胃腸で消化されて一旦アミノ酸にまで分解されます。アミノ酸に分解された後、再び筋肉や皮膚、血液など体内の様々種類のたんぱく質に作り変えられるのです。
アミノ酸は2つに分けられます。必須アミノ酸と非必須アミノ酸です。
20種類のアミノ酸のうち11種類は、他のアミノ酸から作ることができます。これを非必須アミノ酸とよびますが、残りの9種類はわたしたちの体内で合成することができません。これらは必須アミノ酸とよばれ、食べ物から補うしかありせん。
また1種類でも欠けると、低栄養状態や、肌あれなどからだに障害を起こすことが知られています。
馬プラセンタ成分のアミノ酸分析結果>
(財団法人 日本食品分析センター 分析)
アミノ酸の種類と働き
必須アミノ酸
バリン | 筋肉たんぱく質の主成分で、血液中の窒素バランスを調整したり、筋肉や肝臓に働きかけます。 |
リジン | 抗体、ホルモン、酵素の合成などに使われます。タンパク質の吸収を促進、糖の代謝促進、カルシウム吸収促進などからだの成長に重要な働きをします。体の窒素バランスを正しく保ち、ウィルスの働きを抑制します。コラーゲンの生成を助け、骨粗鬆症を予防します。パン食・米食では不足しがちなアミノ酸です。 |
ヒスチジン | 成長に関わり、とくに子どもの成長には欠かせないアミノ酸です。白血球の生成を促進して免疫力を高めます。 |
ロイシン | 肝機能の増強が主な作用です。多くの食品に含まれているので不足することはまれです。筋肉たんぱく質の主成分となります。 |
メチオニン | 硫黄を含んだ含硫アミノ酸で、有害な鉛、水銀、カドミウムなどに結合して、体外へ排泄します。腎臓、肝臓内の毒素や老廃物を排除し代謝を促進して、血中コレステロール値をコントロールします。 メチオニンが不足すると肝機能が衰える、利尿能力が低下します。 |
トリプトファン | たんぱく質生合成の材料となり、その他、肝臓、腎臓で分解されエネルギー源となります。脳内で神経伝達物質のセロトニンを形成します。 |
スレオニン | 酵素の活性部位などをつくります。胃液の分泌を促進し、小腸の働きを高め消化吸収を良くします。 |
フェニルアラニン | 体内では、チロシンの合成原料、脳内では、神経伝達物質のノルアドレナリン、ドーパミンの合成原料となります。甲状腺ホルモンの分泌を促し、精神を安定化させます。 |
イソロイシン | 真皮層のエラスチンに多く含まれ保湿効果のあるアミノ酸です。プロリンとの相乗効果でさらに保水力を高めてくれます。また神経の働きを助けたり、血管や肝臓、筋肉などに働きかけます。 |
成長因子とは
プラセンタがもつ最大有効成分が「成長因子」です。
因子は細胞分裂を活発にし、新しい細胞が次々に生まれるようにはたらきかけ、新陳代謝をアップさせます。
成長因子の種類と働き
EGF(上皮細胞増殖因子) | 表皮の充実、弾力、キメが整う、ターンオーバー新陳代謝をうながす 皮膚・肺・角膜・気管上皮細胞の増殖 |
FGF(繊維芽細胞増殖因子) | 真皮の充実、ニキビ跡を目立たなくする、ハリ、ツヤ、シワ、透明感 、コラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンをつくりだす |
NGF(神経細胞増殖因子) | 自律神経にはたらきかける、神経細胞(知覚・交感神経接細胞)の増殖、更年期障害・うつ・老化を防ぐ、精神的に安定 |
IGF(インシュリン様成長因子) | 関節痛の軽減・リウマチ等軟骨細胞・平滑筋細胞の増殖 |
HGF(肝細胞増殖因子) | 肝臓病の改善肝実質細胞をはじめ、諸組織の増殖 |